
令和6年9月30日、法務省と厚生労働省は「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則」の一部を改正しました。
KSCにてまとめた概略は下記の通りです。
1. 労働環境の適正化
(1)林業分野への適用による安全管理の強化
- 今回の改正では、「林業」分野が新たに技能実習制度の対象に追加されました。
- 林業は労働災害のリスクが比較的高い分野であり、技能実習生の安全確保が特に重要視されます。
- そのため、林業分野での労働安全管理や適切な保護具の使用、事故防止のための指導が強化される可能性があります。
(2)労働基準法の遵守徹底
- これまでも技能実習生の労働環境を守るために、時間外労働の規制や最低賃金の確保が求められてきました。
- 今回の改正に伴い、新たな職種での適用にあたり、労働基準法や安全衛生法に基づいた実習環境の整備が改めて求められることになります。
2. 監理団体や実習実施者の責任強化
(1)適正な監理体制の確保
- 監理団体(組合等)の監査が強化され、適正な受け入れ体制が求められるようになります。
- 監理団体は、林業分野での技能実習生の受け入れにあたり、職場環境の監査や適切な指導の実施が義務付けられます。
(2)実習計画の適正化
- 技能実習計画の中には、技能の習得だけでなく、生活環境の整備や実習生の権利保護についても含まれる必要があります。
- これにより、企業や農業・林業の現場で技能実習生が適切な環境で働けるように、より厳格な審査が行われる可能性があります。
3. 技能実習生の権利保護の強化
(1)相談窓口の整備
- 技能実習生が劣悪な労働環境や人権侵害を受けた際に、適切に相談できる窓口の整備が進められると考えられます。
- 監理団体や受入企業は、実習生が困ったときに日本語以外でも相談できる体制を構築する必要があります。
(2)転籍や救済措置の適正化
- 実習先で問題が発生した場合、実習生は転籍の手続きをスムーズに行えるような仕組みが求められると考えられます。
- 特に林業分野の追加により、実習環境が厳しい場合の救済措置や転籍支援が強化される可能性があります。
4. ハラスメント防止・人権保護の推進
(1)パワハラ・セクハラ対策
- 技能実習生の人権保護の観点から、職場でのハラスメント対策の徹底が求められます。
- 企業や監理団体は、ハラスメントの防止研修を強化する必要があると考えられます。
(2)賃金未払い・不当な控除の防止
- 技能実習制度においては、賃金の未払い問題や違法な控除が問題視されています。
- 今回の改正に伴い、給与支払いの透明化や適正な契約内容の確認が強化されると考えられます。