1. 労働環境の適正な整備

技能実習生が安全・適正な環境で実習できるように、労働環境の整備が求められます。

(1)労働時間・休憩時間の管理

  • 労働基準法を遵守し、時間外労働や休日労働の適正化を図る。
  • 適切なシフト管理を行い、長時間労働を防ぐ。
  • 実習生に対し、労働時間・休憩・休日に関するルールを明確に説明する。

(2)最低賃金と手当の適正支払い

  • 実習生の賃金が最低賃金を下回らないように管理する。
  • 残業代・深夜手当の支払いを正しく計算し、労働基準監督署の指導に沿った運用をする。
  • 賃金の未払い・不当控除を防ぐため、給与明細を分かりやすく説明。

(3)労働安全衛生対策

  • 安全衛生教育の実施(特に林業など危険を伴う作業では安全管理を徹底)。
  • 適切な防護具の支給(ヘルメット、安全靴、手袋など)。
  • 事故発生時の対応マニュアルを整備し、応急処置の研修を行う。

2. 生活環境の整備

技能実習生が日本での生活にスムーズに適応できるよう、生活面での支援も重要です。

(1)住居の確保と環境整備

  • 快適な居住環境の確保(狭すぎる・不衛生な寮は不可)。
  • 家賃や光熱費の説明を明確にし、不当な控除をしない
  • 緊急時(地震・火災など)に備えた避難訓練の実施

(2)日本での生活サポート

  • 銀行口座の開設や携帯電話の契約サポート
  • ゴミの出し方、交通ルール、日本のマナーの指導
  • 買い物や病院の利用方法の案内

(3)医療・健康管理

  • 健康診断の実施(法律で義務付けられている)。
  • 病気・ケガの際に適切な医療機関へ案内できるようにする。
  • 精神的なケアのための定期的なカウンセリングの実施

3. 人権保護・ハラスメント対策

実習生の人権を守り、安心して実習ができる環境を整備することが求められます。

(1)パワハラ・セクハラの防止

  • 職場内でのハラスメント防止研修を実施
  • 実習生が上司や同僚からの嫌がらせや暴力を受けた場合の通報窓口を設置
  • ハラスメントを行った社員には、厳格な対応をする。

(2)通報・相談窓口の設置

  • 実習生が問題を抱えた際に気軽に相談できる窓口の設置
  • 母国語で相談できる環境を整える(通訳や多言語対応)。
  • 監理団体と連携し、外部相談窓口の案内

4. 教育・キャリアサポート

実習生がスキルを高め、適切な技術を習得できるように教育体制を強化する。

(1)技能習得のための計画的な指導

  • 明確な技能習得計画を立てる(技能実習計画書の内容を遵守)。
  • 実習生が技能を身につけられるように分かりやすい指導を行う。
  • 指導担当者を決め、定期的に進捗を確認する

(2)日本語学習のサポート

  • 日本語学習の機会を提供する(社内講座やオンライン学習支援)。
  • 実習生が最低限の日本語コミュニケーションができるよう支援。
  • 実習期間中に日本語能力試験(JLPT)を受験できる環境を整える

(3)特定技能への移行支援

  • 実習生が技能実習終了後に「特定技能」へ移行を希望する場合、必要な情報を提供し、手続きをサポート。
  • 社内で特定技能外国人として採用する場合のルートを確立する。

5. 監査・法令遵守の徹底

受入れ企業は、技能実習制度のルールを遵守し、定期的に監査を受ける必要があります。

(1)定期的な自己監査

  • 労働時間・給与・住環境などを定期的にチェックし、法令違反がないか確認。
  • 監理団体とも協力し、問題がないかの点検を実施。

(2)監理団体・関係機関との連携

  • 監理団体と定期的に連絡を取り、実習生の状況を共有
  • 実習生が問題を抱えた場合、労働基準監督署や外国人技能実習機構と連携し、適切な対応を行う

(3)実習生からのフィードバック収集

  • 実習生の意見を聞くための定期面談を実施し、職場環境の改善につなげる。
  • 匿名で意見を出せる仕組み(アンケートや投書箱の設置)を導入。